「ロココっ!!」
ベッドに腰掛けたまま横になった姿勢でロココがぐったりしている。
外から帰って、上着を脱いだところで力尽きたのだろう、恐る恐る額に手を当てるとやはり熱があるようで、じんわりと熱いし頬がやや赤い。
「おい、ロココ大丈夫か!?」
このままにしておくわけにもいかず、かと言って掛け布団の上に横たわっているロココを動かすこともできないので、起こして自分で動いて貰うしかない。
それにしても、一体どうしたのだろうか?呼吸も荒く、首筋から鎖骨辺りにかけて何だか赤くなっているようにも見える。
「・・・うぅ・・・え、マリア・・・?」
「・・・大丈夫か?」
起き上がるのを支えようとしたが、身長がある上鍛えているのでそれなりに体重があり、なかなか上手くいかない。
四苦八苦して何とか起き上がったロココは、しばらく額に手を当てて辛さを堪えているようだ。
「一体どうしたんだ?」
「・・・食事をして、帰ってくる途中、・・・調子が悪くなって・・・。」
「・・・部屋について倒れてしまったと言う訳か?」
マリアの問いかけにロココは頷く。
あまりに辛そうな様子なので、隣に座って背中をさすってやりながら静かに声をかける。
「とりあえず、着替えて、水分を取ってよく休め。・・・首の辺りが赤くなってるぞ、食物アレルギーでもあるのか?」
「マリア・・・心配してくれたの?」
「なっ、何を馬鹿なことを・・・。あ、赤くなってぶっ倒れていたら心配するに決まっている。」
額に当てられていた手はいつの間にか下ろされていて、黒い瞳がこちらを覗きこんでいる。
ぎゅっと握ってきたロココの手はとても熱く、マリアはしばらくその手を離すことができなかった。
「じゃあ、水を取ってくるから、お前は着替えて横になってろ。・・・蕁麻疹の薬は何か持ってたりするのか?」
「あ・・・確かそこの引き出しにあった筈。」
「・・・蕁麻疹用。あった、・・・お前しょっちゅう蕁麻疹出るのか?」
「いや、たまに・・・。」
ふーん、と納得したのかしていないのか、とりあえず相槌を打ってマリアは部屋を出て行った。
それにしても、自分でも驚いた。こんな急に体調が悪くなるなんて思いもよらなかったし、しかもマリアが来てくれてから急に体が軽くなったような気がする。
まぁ、まだ首も赤いことだし、多少だるさも残っているので大人しく寝ているべきだろう。
それに、思いもかけずマリアが甲斐甲斐しく世話をしてくれるなんて、こんなラッキーなことはない。
脱いだ服は適当に椅子に掛けておく。明日は少し早めに起きてシャワーを浴びれば良い。多分一眠りすれば体調は元通りになる気がする。
パジャマ代わりのスラックスを履き、長袖のシャツを手に取ったところでノックが聞こえた。
「開けるぞ。」
「どうぞ。」
一瞬驚いたような顔をした後、ふと目を逸らしてマリアが入ってきた。
「・・・薬、塗ったのか?」
「あ、まだだった。」
そうだった、シャツを着てからじゃ塗りにくい。面倒だったから袖を通した格好のままで、机の上の薬を取ろうとしたらマリアに遮られた。
「不精をするな。・・・座れ。」
薬の蓋を開け、中の軟膏を手に取る。
ひんやりした軟膏と、細いマリアの指が首と鎖骨辺りを滑っていく。
「・・・。」
「・・・。」
一旦収まったはずの熱がまた上がってきたような気がする。
薬を塗ってくれているマリアの頬が淡く上気していて、紅い瞳がいつもより少し潤んでいたから、・・・だから、桜色の唇に吸い寄せられてしまったのは不可抗力だ。
「・・・もう、寝ろ。」
ぽんっと肩を押されて、ベッドに倒れた隙にマリアは部屋を出て行ってしまった。
・・・袖、通したままだったからなあ。
マリアの言うとおり面倒臭がらなければ良かった。後の祭り・・・だな。
-[あとがき]----------------------------------------
ホント、腕が自由だったら、お祭りがもっと続いたかも知れないのにね(笑)
あはは~俗物すぎるロココ様になってしまいました
と言うか、超我慢の人になってますね・・・あんまりいい思いさせてあげられなくてゴメンネ、ロココ様
ま、ブログの運営上、お祭りの模様を最後までお伝えすることはちょっと困難と思われますので、
申し訳ございませんがその辺はご了承ください(笑)
え?え?何のことか分らない??~それならいいんです
ムードとか、雰囲気とかあんまりないんで、行間は皆さんの妄想で埋めてください
以上、あとがきでした!