「あ~よしよし、かわいいでちゅね~。」
普段の様子からは考えられない笑顔で我が子をあやす異聖メディア。
言葉遣いも完全に赤ちゃん言葉になり、眼に入れても痛くないとはまさにこの事だと言えるだろう。
あやされている当のオリンは、そんな母の笑顔につられて可愛い笑顔を見せた。
「かわいいおくちでちゅね~。おかーしゃまそっくりでしゅね~。」
まだ歯も生えていないかわいらしい口元が自分にそっくりだと自画自賛して、異聖メディアはご満悦である。
オリンはそのことに抗議したのか何なのか、笑顔から一瞬真顔になって、
ハ・・・ハクチッ
くしゃみをしたと思ったら、『たら~』と鼻水を垂らしてしまった。
「オ、オリンや。どうしたの?!」
当の本人は『なんだこれ?』というような表情で母を見上げている。
「ムガル!聖梵ムガルはどこじゃ!!オリンの一大事じゃ~!!!」
異聖メディアの絶叫があたりにこだました・・・。
「お呼びでございますか?メディア様。」
「遅いではないか、ムガル。オリンがくしゃみをしてしまったのじゃ。可愛いお鼻がつまってしまって、嗚呼可愛そうに。早く何とかしておくれ。」
オリンを抱いてオロオロしていた異聖メディアは、現れた聖梵ムガルに縋る様に助けを求めた。
「大丈夫でございますよ、メディア様。こんなこともあろうかと、・・・これで、こうして・・・。」
ずずずずず・・・
聖梵ムガルはどこからともなく管のようなモノを取り出して、おもむろにオリンの鼻にあてがって鼻水を吸いだした。
「おぉ!なんと!オリンや、オリンちゃんや、お鼻は気持ちよくなりまちたか?よかったでちゅね~。」
「お鼻が詰まっているときはこの鼻吸い器が便利でございますよ、メディア様。」
創聖童鬼の母代わりでもある聖梵ムガルは、肝っ玉母ちゃんの貫禄十分である。
「それにしても、鼻吸い器なんてよく持っておったのう。まこと、ムガルは準備の良いことよ。」
「とんでもございません、メディア様。午前中に遊びに来られていたマルコ様が、帰り際くしゃみをされていましたので、万が一と思いまして持っていただけでございます。」
「・・・なに?マルコじゃと?」
異聖メディアがそういった瞬間、またオリンがくしゃみをした。
「次界創造主め!風引きの息子をオリンの元に送り込んでこの曼聖羅を弱らせようとする魂胆だな!!そうはゆかぬぞ、文句を言ってくれるわ。」
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トゥルルル~トゥルルル~
「はい、もしも・・・」
「異聖メディアじゃ。ウチのオリンに風邪をうつしおって、どう責任取るつもりじゃ!」
「あ~・・・現在おかけになった番号は使われておりません。」
「誤魔化すでない!おかげでオリンは鼻がつまってくしゃみまでしておるのじゃぞ!!」
「そんなこと言っても、そもそもは・・・」
はくしょんっ
うわ~ん
まりあー、まるこがいまおしっこしたよ~
「・・・そもそもは、そっちのピカギリが風邪をうつしてきたんだろう。こちらも今大変なんだ。」
「なんじゃと?!」
ぴかぎり!はなみずがとまらないんだからこちらにきてはいけませんよ
だって、しんいんにょが~
うわーん
「ほらな。」
「・・・とにかく、治るまで出入り禁止じゃぞ!」
ガチャ
「・・・毎回電話してこないで貰いたいものだ。」
まりあ~まるこがウンチもしたよ~
「わかったわかった、今行くからな。」
-[あとがき]----------------------------------------
娘が風邪を引いて鼻吸い器を使用したのでこんな話ができちゃいました。
(熱はないんですが、乳児は鼻かめないから詰まると可愛そうですよね。)
創聖童鬼の育ての母は聖梵ムガルってことに勝手にしちゃいました。
ピカギリは風邪引きやすそうなイメージ。
真因如・アッシラ王は平気なのに一人風邪引いちゃったりとか(笑)
小話はパラレルみたいなもんなんで、設定適当です。
マルコとプッチーはすでにお友達ってことになっています。
といってもオムツしている年齢なんで、お互いに友達って認識あるかは?ですが。
ロコ様はウンチのオムツを替えたくなくて嫁を呼んでいます。
どこの世界でも良くある光景ですね(笑)