「食事は美味いな、ココは。」
「一体どうやって作っているんだろうね、・・・こんな人の気配が無いのに。」
「さぁな。ま、考えるだけ無駄だろうよ。」
「・・・。」
朝食を終えて食後の紅茶を飲みながら、二人は言葉少なく過ごしていた。
窓から見える空は快晴。曇りだとか雨といった天候はここには存在しないのではないか、そんな気がしてくるような、見事な青空が広がっている。
そして、空の下には美しい庭園が見渡す限り続いており、木々が朝日を浴びて輝き、まさに調和に満ちた世界なのであった。
コンコン
「失礼致しますわ。おはようございます、お二人ともよくお休みになれまして?」
「ああ、愛然かぐや。おはようございます、それはもう、おかげさまで。ありがとうございます。」
「素晴らしい環境を用意頂き、感謝する。」
二人の言葉に満足した風に、愛然かぐやはにっこりと微笑み言葉を続けた。
「早速ですけれど、もうご準備が宜しければ、聖神様の御前へご案内しますわ。」
「はい、宜しくお願いします。」
シヴァマリアも頷き、二人は昨日と同じように愛然かぐやに導かれるまま、建物を出た。
「もうお分かりと思いますが、わたくしの後について、決して他所へ足を向けないでくださいませね。」
そう言ったきり、愛然かぐやは道中振り向きもせず、殆ど言葉を発しないまま先導するだけであった。
どの位歩いたのだろうか、無限に続いているのではないかと思える、暗く長い廊下がやっと終わって、重厚な扉の前で立ち止まった。
「さぁ、こちらですわ。・・・聖神ナディア様、お連れ致しました。」
愛然かぐやの声に答えるように、両の扉がゆっくりと開いていく。
「さ、わたくしに続いてこちらへ。聖神様の御前で跪いて、お声が掛かるまでそのままでいてくださいませね。」
玉座の前には御簾が掛かっており、まだ聖神ナディアの姿を確認することはできない。
聖神の左には野聖エルサMが控えており、愛然かぐやは二人を誘導した後、聖神の右側に移動するようだ。
そして二人を取り囲むかのように、左右に6名づつ新界王が並び、まさに勢揃いといった様子だ。
二人は、言われたとおりの作法で聖神ナディアから声が掛かるのを待った。
するすると御簾が上がる気配がする。
「アンドロココ、シヴァマリア、面をあげなさい。」
「「・・・。」」
「この度は、長きに渡る聖魔の戦いを見事収めた。その功績を称え、聖魔和合の儀を行い、そなた等を『FuzzyM.R』として13番目の新界王に命ずる。」
物は言い様とはこの事だと二人が考えていると、愛然かぐやが目配せをしてるのが目に入った。
「「・・・。もったいないお言葉、謹んでお受け致します。」」
「ホホホ、二人とも長く好敵手として対立せねばならぬ立場であったが、なかなかに協調できておるではないか。」
「「・・・恐れ入ります。」」
「よい、それでは聖魔和合の儀を行おう。二人ともここへ。」
聖神の前へ進み、跪いた二人の頭上に創爛曼棒が翳された。
⇒(2)へ続く