2009/01/24 (Sat) 妻のつとめ

　

マリアはリビングで一人でテレビを見ていた。
夕食も作り終わって特にやることもない時は、テレビを見るのが最近のマリアの習慣になっている。
少し前にロココから帰宅のメールがあったので、あと１０分もしないうちに帰ってくるはずだ。

毎日、マリアは夕方になったら食事の支度をし、ロココの帰宅を待つ。
メールが来てから帰宅まで、大体３０分位なので、それまではのんびりできるのである。
もちろん帰宅が遅くなるときもあるので、そういう時はさっさと先に済ませてしまう。

マリアは、ぼんやりとテレビを見ながらリモコンを操作していた。今日この時間は、ありきたりな特番ばかりで
あまり面白い番組をやっていない。録画している番組を今見始めると、ロココが帰宅したときに
続きが気になってしまうし、それに、一人で勝手に見るなんてずるいと言われそうなので、たまに見ている
「次界サスペンス劇場～主婦探偵事件簿～」にチャンネルを合わせた。

話自体は大して面白くないのだが、主人公が主婦だから、参考になることもあるだろうと思い見始めた。

場面は帰宅した夫を妻が出迎えるところだった。
妻『おかえりなさい。お風呂にする？それともご飯にする？』

「お風呂・・・ご飯・・・。そうか、妻は帰宅した夫にこう聞くのだな。」
マリアはふむふむと納得し、思ったよりもテレビは勉強になるものだと感心した。

『がちゃがちゃっ』

丁度ロココが帰宅したようだ。鍵を開ける音がする。帰宅時にメールをするので、わざわざインターホンを
鳴らしたりはしないのだ。マリアは早速試そうといそいそと出迎えた。

「ただいま～、今帰ったよ。」
外は寒かったのだろう。寒い寒いと言いながらロココはコートとマフラーを外し、玄関脇のハンガーにかけていた。
学んだ成果を見せようと、マリアは得意げに言った。

「おかえり。お風呂でご飯にするか？」

「・・・は？」
ロココは一瞬固まった。一体ウチの奥さんは何を言っているのだろう。
返事をしないロココに苛立ったマリアはもう一度言った。

「だーかーら、お風呂でご飯にするか？と聞いている。さっきテレビで見たぞ。
妻は帰宅した夫にこう聞かなければならないのだ！」

「え・・・お風呂でご飯はキツイでしょ。」
マリアがまた何かヘンなものを見て間違って覚えたようだと分かり、ロココはこっそりため息をついた。

---

タイトルから横島くんな想像をした方、期待を裏切ってすみません。
（一番横島くんなのはshitoだよ・・・）

東京ガスのCM「ミスティ・おフロ？ご飯？」篇がプチヒットしたので、
ちょっとBMに変換して小話書いてみました

マリアはこんなおバカさんじゃないに一票・・・